東京高等裁判所 昭和38年(ラ)750号 決定
本件記録によれば「相手方組合は、本件根抵当権に基づく競売の申立に際し、あらかじめ仮登記権利者であつた当摩喜蔵に対し民法三八一条所定の抵当権実行の通知をしなかつた。もつとも、右申立後、相手方組合は当摩に対し昭和三八年六月一四日到達の書面で六筆の山林、原野について抵当権を実行する旨通知したが、本件畑につては、ついにその通知がないまま手続が進められ、原裁判所は本件競落許可決定をなすにいたつた。」ことが明らかである。してみれば、本件競売手続は、本件畑に関する限り競売申立の要件を欠き違法であり、本件競落は許されないものといわなければならない。抗告人が本件競落許可決定前に当摩喜蔵より本件畑の所有権移転請求権を譲り受けその登記を了したものであることは本件記録上明らかであり、また、抗告人が本件競落許可決定により損失を蒙むるべきことも明白である。抗告人の本件抗告は理由がある。
(牛山 岡松 川嵜)